住職のつぶやき

お彼岸の季節

 

こんにちは。今はお彼岸の期間です。自坊(自分のお寺)のお墓にも多くの方がお参りに来てくださっています。

この「お彼岸」は、昼と夜の長さが同じになる春秋の中日(春分の日、秋分の日)をはさんで、前後一週間のことをいいます。

*令和6年は(3/17~3/23)(9/19~9/25)。

彼岸とは彼(かの)の岸と書き、お浄土のことを現します。彼岸に対して、私たちの住んでいるこの世界を此(この)岸、此岸(しがん)といいます。昼と夜の長さが同じの「春分」「秋分」に、西に沈む太陽の先の阿弥陀仏の浄土を想い、此岸(この世)から彼岸(お浄土)へいたる「到彼岸(とうひがん)」の仏事として古来より取り組まれてきました。この仏事を「彼岸会」(ひがんえ)といいます。また、一般の信者の方には、お寺やお墓にお参りするのが習慣となっていきました。

私共、真宗に於いては、「讃仏会」(さんぶつえ)と呼び、煩悩に満ち、救いようのないこの私たちを阿弥陀様が摂取不取(せっしゅふしゃ:摂め取って捨てない)してくださる「おはたらき」を喜び、そのお徳を讃嘆(さんだん)すると共に、阿弥陀様の誓願(せいがん)によって、此岸(この世)から彼岸(お浄土)へと渡っていける事への感謝を申し上げる行事とさせて頂いております。

また、この「お彼岸」は、阿弥陀様の願いに出会わせていただく場であると同時に、ご先祖様など先に仏となられた方の願いに出会わせていただく場でもあります。

いつでも亡き方は仏となって、私がうれしい時も悲しい時も、一緒に喜び悲しんでくださります。先に仏となられた方をこの私を導いてくださる存在として手をあわせていくことはとても尊いことです。そして、仏の世界に生まれられたご先祖方を偲び、やがて自分も老い病み死んでいかねばならない者であることを自覚する期間でもあります。そして、すべての者を彼岸(お浄土)に救うと願っていて下さる、阿弥陀様の教えに耳を傾ける事が何より大切であります。

毎年お迎えする「お彼岸」は、私たちが、お浄土へ生まれる道をあらためて聞かせていただく中で、人生の終着地点を思い、先に浄土へ渡られた方からのはたらきに心強さをいただくご縁なのです。

合掌

住職