「花まつり」お釈迦様のお誕生日
こんにちは。4月になりました。例年よりも寒かった3月が終わり、ようやく暖かくなってきました。桜も満開になり、新学期という事で小中高などの新入生の皆さんが桜を背景にして記念写真を撮られている姿を何度か見かけました。その姿をとても初々しく感じ、私の気分も明るくさせてくださいます。
さて、4月8日はお釈迦様が誕生されたとされる日です。この日は、お釈迦様のお誕生をお祝いする行事として「花まつり」と呼ばれておりますが、ご存知の方も多いのではないでしょうか。私共、真宗に於いては灌仏会(かんぶつえ)と呼んでおります。
お釈迦様は今からおよそ2500年前の北インドのルンビニーという花園でお生まれになったと伝えられています。お釈迦様がお生まれになった時、珍しい出来事があったという伝説があります。
花園の花はかぐわしい香りを放ち、甘く心地よい雨が降り注ぎ、生まれたばかりのお釈迦様が七歩、歩んで、天と地を指して、「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)と言われたそうです。
この伝説をもとにして、毎年4月に白い像にお釈迦様生誕の地に見立てた花御堂をつけて、生まれたばかりのお釈迦様の誕生仏に甘茶をかけるなど各地で「花まつり」の行事が行われます。
このお釈迦様のお誕生の伝説の「七歩、歩んで言葉を発した」というお話は、実際には考えにくい事ではありますが、この伝説が意味する事は私達に大切な事を教えてくださっています。
「七歩」とは、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天)という六つの苦しみの世界を超えていくという意味があります。人間は、自分の行いによってこの六つの苦しみの世界をめぐっていく、つまり輪廻(りんね)していて、その苦しみの世界を超えていく者になる事をこの七歩で表しています。
また、「天上天下唯我独尊」という事葉は、「自分がこの世で一番偉い」というように誤解されやすいですが、本来は「この広い世界の中で私という人間はたった一人しかいない、かけがいのない大切な存在」であることを表した言葉です。
このお釈迦様の誕生の伝説は、私たち一人ひとりのいのちの尊さと、その尊い一人ひとりが苦しみを超えて本当の安らぎを得る事が、仏教の目指す所であるということを示してくださっています。
そして、親鸞聖人は、『正信偈』において「如来所以興出世 唯説弥陀本願界」(にょらいしょいこうしゅっせ ゆいせつみだほんがんかい)「お釈迦様がこの世にお出まし下さったのは、ただひとえに共にあるいのちに目覚めましょう」という阿弥陀仏の本願を説くためです。」と述べられています。
私達は知らず知らずのうちに、根拠もなく自分と他人を比べ、その優越に一喜一憂して優越感や劣等感を頂き、悩み苦しんでいます。しかし、真に安らげる道として「そのままでよいのですよ」と阿弥陀様のご本願に呼びかけられている道があると教えてくださっています。
お釈迦様がこの世にお生まれになってくださり、阿弥陀様のご本願を説いてくださったお陰でお念仏に出逢う事が出来ました。ありがとうございます。とお勤めするのが、「花まつり」「灌仏会」でございます。
合掌
住職